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英作文が書けない本当の理由──「問いを持つ力」の本質

英作文は「問い」からはじまる


英作文が苦手だという声を、よく生徒さんから耳にします。


英単語はある程度覚えているし、文法もそれなりに分かっている。


でも、いざ書こうとすると手が止まってしまう──そんなケースは少なくありません。


その大きな原因のひとつが、「自分の中に問いがないこと」なのではないかと思います。


英作文は、ただ英語で文章をつくる作業ではありません。


自分の考えや気持ちを見つめ直し、それを言葉にしていくプロセスです。


つまり、「私はどう思っているのか?」「なぜそう感じたのか?」と、自分自身に問いかけることができないと、本当に伝わる文章にはならないのです。


この記事では、なぜ「問いを持つこと」が英作文にとって大切なのか、アメリカの教育や英検の出題傾向なども交えながら、くわしくお話ししていきます。


「正しく書く」と同時に「何を書くか」も大事


英作文というと、「文法の正しさ」にばかり意識が向いてしまいがちですが、それ以上に大切なのが「何を書くのか」という中身です。


いくら文法が完ぺきでも、そこに伝えたい思いや考えがなければ、読む人の心には届きません。


たとえば英検では、「学生はアルバイトをするべきか」「留学は必要か」といったテーマがよく出題されます。


こうした問いに答えるためには、自分の考えだけでなく、その理由や背景、自分の経験などを掘り下げていく必要があります。


そうしたプロセスこそが、「自分との対話」なのです。


アメリカの教育に根づく“問いのチカラ”


アメリカの学校では、「自分で問いを立てる力」をとても大事にしています。


授業の中では、「この主人公はなぜこうしたんだろう?」「もしあなたならどうする?」といった、ひとつの正解がない問いが日常的に投げかけられます。


そうした学びの積み重ねによって、子どもたちは自然と「自分で考える」ことに慣れていきます。


そしていつの間にか、自分なりの問いを持ち、それをもとに考えたり話したりできるようになるのです。


だからこそアメリカの子どもたちは、エッセイやプレゼンテーションでも、自分の意見をしっかりと伝えることができるのです。


英検でも求められる「考える力」


英検のライティング問題でも、単に正しい英語を書くだけでは高得点は取れません。


大切なのは、「自分はこう思う」という意見を持ち、それを理由や具体例を添えて、わかりやすく伝える力です。


つまり、「問いにしっかり向き合い、自分なりの答えを導こうとしたかどうか」が、評価の分かれ目になります。


テンプレートやよくある表現だけに頼っていると、どうしても浅く、印象に残らない文章になってしまうのです。


子どもたちが問いを持てないわけ


「あなたはどう思う?」「なぜそう思ったの?」と聞かれても、黙りこんでしまう子は少なくありません。


それは、「問いを立てる」経験が少ないからです。


日本の教育では、長いあいだ「正しい答えを出すこと」が重視されてきました。


そのため、子どもたちは「間違えたくない」という気持ちが先に立ち、「問いを考える」ことに自信が持てないのです。


でも、問いを持つ力は、特別な才能ではありません。


日々の中で少しずつ練習すれば、誰でも育てていくことができるのです。


問いが持てると、英作文が変わる


自分の中に問いを持てるようになると、英作文の中身は驚くほど変わります。


理由や背景に説得力が生まれ、文章に「その子らしさ」が自然とにじみ出てくるからです。


「なぜそう思ったのか」「その考えはどんな経験から来ているのか」と問いかけることで、自分の思考や感情が整理されていきます。


そうして書かれた文章は、読む人の心にもしっかり届くのです。


日常の中で問いを育てるには?


問いを持つ力は、日常生活のちょっとした工夫で育てることができます。


特別な教材や道具がなくても大丈夫です。


たとえば、日記を書くときに「今日はなぜ楽しかったのか?」「どうしてイライラしたのか?」と、自分の気持ちに“なぜ”をつけてみる。


本や映画について、「私はどう思ったんだろう?」と、ひと言でもいいから感想を言葉にしてみる。


英作文に取りかかる前には、「私はどう思ってる?」「なぜそう感じる?」「他の人はどう感じるかな?」という3つの問いを自分に投げかけてみるのもおすすめです。


こうした小さな習慣が、「書く前に考える」クセを自然に身につけさせてくれます。

アメリカの教育や英検に活かすために


アメリカで学ぶ子どもたちは、日々「問い」を大切にした学びを積み重ねています。


家庭でも、「どう思った?」「それってなぜ?」と親や先生が問いかけてあげるだけで、子どもは自然と“考える姿勢”を身につけていきます。


英検に取り組む場合も、テンプレートに頼りすぎず、「自分の問いからスタートする」ことが何より大事です。


その方が、自然で個性ある英作文になり、採点者の印象にも強く残るのです。


書く前に、まず「問い」を立てよう


「英作文が書けない」と感じるのは、英語力の問題ではなく、もしかしたら「問いがない」からかもしれません。


問いを持つことで、書く内容が自然と湧きあがり、自分の考えがはっきりと見えてきます。


問いは、自分自身と向き合う入り口であり、英語で何かを伝えるための最初の一歩でもあるのです。


だからこそ、書き始める前にまず自分に問いかけてみましょう。「私は、どう思っているんだろう?」と。


その小さな問いが、英作文の最初の一行をしっかりと支えてくれるはずです。



記事作成者 (Manami Palmini



講師経歴

​​

  • 国際基督教大学、大学院にて英語の集中クラスを受けながら、演劇や脚本の研究に携わる

  • 日本の個人塾で3年間英語講師としての経験あり

  • ​ニューヨーク大学(NYU)大学院にて芸術教育学を学び、言語学習における芸術活動の効果について研究

  • ​TESOL(英語教授法)資格あり

過去のサポート歴

  • 現地校、日本人学校に通うお子さんの日常英会話

  • 英検、中学、高校、大学受験対策

  • 駐在の方のためのビジネス英会話

  • お子さんがいる方のためのママ友さんとのスモールトーク、学校関連の会話

  • 研究員として渡米された方のためのプレゼンテーションのお手伝い


 
 
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