英作文が書けない本当の理由──「問いを持つ力」の本質
- Manami
- Jul 7
- 5 min read
英作文は「問い」からはじまる
英作文が苦手だという声を、よく生徒さんから耳にします。
英単語はある程度覚えているし、文法もそれなりに分かっている。
でも、いざ書こうとすると手が止まってしまう──そんなケースは少なくありません。
その大きな原因のひとつが、「自分の中に問いがないこと」なのではないかと思います。
英作文は、ただ英語で文章をつくる作業ではありません。
自分の考えや気持ちを見つめ直し、それを言葉にしていくプロセスです。
つまり、「私はどう思っているのか?」「なぜそう感じたのか?」と、自分自身に問いかけることができないと、本当に伝わる文章にはならないのです。
この記事では、なぜ「問いを持つこと」が英作文にとって大切なのか、アメリカの教育や英検の出題傾向なども交えながら、くわしくお話ししていきます。

「正しく書く」と同時に「何を書くか」も大事
英作文というと、「文法の正しさ」にばかり意識が向いてしまいがちですが、それ以上に大切なのが「何を書くのか」という中身です。
いくら文法が完ぺきでも、そこに伝えたい思いや考えがなければ、読む人の心には届きません。
たとえば英検では、「学生はアルバイトをするべきか」「留学は必要か」といったテーマがよく出題されます。
こうした問いに答えるためには、自分の考えだけでなく、その理由や背景、自分の経験などを掘り下げていく必要があります。
そうしたプロセスこそが、「自分との対話」なのです。
アメリカの教育に根づく“問いのチカラ”
アメリカの学校では、「自分で問いを立てる力」をとても大事にしています。
授業の中では、「この主人公はなぜこうしたんだろう?」「もしあなたならどうする?」といった、ひとつの正解がない問いが日常的に投げかけられます。
そうした学びの積み重ねによって、子どもたちは自然と「自分で考える」ことに慣れていきます。
そしていつの間にか、自分なりの問いを持ち、それをもとに考えたり話したりできるようになるのです。
だからこそアメリカの子どもたちは、エッセイやプレゼンテーションでも、自分の意見をしっかりと伝えることができるのです。
英検でも求められる「考える力」
英検のライティング問題でも、単に正しい英語を書くだけでは高得点は取れません。
大切なのは、「自分はこう思う」という意見を持ち、それを理由や具体例を添えて、わかりやすく伝える力です。
つまり、「問いにしっかり向き合い、自分なりの答えを導こうとしたかどうか」が、評価の分かれ目になります。
テンプレートやよくある表現だけに頼っていると、どうしても浅く、印象に残らない文章になってしまうのです。
子どもたちが問いを持てないわけ
「あなたはどう思う?」「なぜそう思ったの?」と聞かれても、黙りこんでしまう子は少なくありません。
それは、「問いを立てる」経験が少ないからです。
日本の教育では、長いあいだ「正しい答えを出すこと」が重視されてきました。
そのため、子どもたちは「間違えたくない」という気持ちが先に立ち、「問いを考える」ことに自信が持てないのです。
でも、問いを持つ力は、特別な才能ではありません。
日々の中で少しずつ練習すれば、誰でも育てていくことができるのです。
問いが持てると、英作文が変わる
自分の中に問いを持てるようになると、英作文の中身は驚くほど変わります。
理由や背景に説得力が生まれ、文章に「その子らしさ」が自然とにじみ出てくるからです。
「なぜそう思ったのか」「その考えはどんな経験から来ているのか」と問いかけることで、自分の思考や感情が整理されていきます。
そうして書かれた文章は、読む人の心にもしっかり届くのです。
日常の中で問いを育てるには?
問いを持つ力は、日常生活のちょっとした工夫で育てることができます。
特別な教材や道具がなくても大丈夫です。
たとえば、日記を書くときに「今日はなぜ楽しかったのか?」「どうしてイライラしたのか?」と、自分の気持ちに“なぜ”をつけてみる。
本や映画について、「私はどう思ったんだろう?」と、ひと言でもいいから感想を言葉にしてみる。
英作文に取りかかる前には、「私はどう思ってる?」「なぜそう感じる?」「他の人はどう感じるかな?」という3つの問いを自分に投げかけてみるのもおすすめです。
こうした小さな習慣が、「書く前に考える」クセを自然に身につけさせてくれます。

アメリカの教育や英検に活かすために
アメリカで学ぶ子どもたちは、日々「問い」を大切にした学びを積み重ねています。
家庭でも、「どう思った?」「それってなぜ?」と親や先生が問いかけてあげるだけで、子どもは自然と“考える姿勢”を身につけていきます。
英検に取り組む場合も、テンプレートに頼りすぎず、「自分の問いからスタートする」ことが何より大事です。
その方が、自然で個性ある英作文になり、採点者の印象にも強く残るのです。
書く前に、まず「問い」を立てよう
「英作文が書けない」と感じるのは、英語力の問題ではなく、もしかしたら「問いがない」からかもしれません。
問いを持つことで、書く内容が自然と湧きあがり、自分の考えがはっきりと見えてきます。
問いは、自分自身と向き合う入り口であり、英語で何かを伝えるための最初の一歩でもあるのです。
だからこそ、書き始める前にまず自分に問いかけてみましょう。「私は、どう思っているんだろう?」と。
その小さな問いが、英作文の最初の一行をしっかりと支えてくれるはずです。
記事作成者 (Manami Palmini ![]() 講師経歴
過去のサポート歴
|