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「分からない」じゃなくて「感じたことがない」ー英作文に本当に必要な力

子どもたちが英作文や面接で「分からない」と答えることはよくあります。


でも、その「分からない」は本当に「わからない」のか、それとも「感じたことがない」から答えられないのか、両者は少し違います。


今回は、「分からない」と「感じたことがない」の違いを見つめ直しながら、子どもたちが自分の言葉で気持ちや経験を伝えられるようになるために大切な「感じる力」を育てる方法をご紹介します。

「分からない」と「感じたことがない」はどう違うの?


例えば、先生や面接官から質問されて子どもが「分からない」と答えたとき、多くの大人は「理解できていないんだな」と考えがちです。


でも、そこには2つのタイプの「分からない」があります。


ひとつは、質問の意味や答え方が理解できず「わからない」場合。


もうひとつは、質問の内容は理解しているけれど、そのテーマについて自分の心で「感じたことがない」ため、答えられない場合です。


たとえば「好きな本について教えて」と言われて、「分からない」と子どもが答えたとします。


これは、本を読んだことがないから「分からない」のではありません。


心の中に自分の答えがないという状態です。


子どもが英作文や面接で「分からない」と言う理由


子どもたちが英作文や面接で答えられず「分からない」と言うのは、次のような理由が多いです。


  • まだその経験をしたことがなく、感じたことがないから

  • 自分の気持ちを言葉にする自信がないから

  • 間違えたらどうしようと不安になっているから

  • 質問の意図はわかっているけれど、言葉が見つからないから


この中でも特に、「感じたことがない」という理由は、子ども本人も気づいていないことが多く、大人が気づいてあげることがとても大切です。


「感じたことがない」ってどういうこと?


子どもはまだまだ人生経験が浅く、知らないことや初めてのこともたくさんあります。たとえば、


  • 「感動したことはありますか?」

  • 「困ったとき、どうしましたか?」

  • 「誰かに感謝した体験を教えてください」


こういった質問に対して、感じたことがなければ自然と答えに詰まってしまいます。


それは決して悪いことではなく、むしろ素直な気持ちの表れ。


感じたことがないテーマに無理に答えを作ろうとすると、子どもはますます自信をなくしてしまうかもしれません。


「分からない」時にすぐ答えを教えるだけではもったいない


子どもが「分からない」と言ったら、すぐに答えを教えてしまいたくなりますよね。


でも、これは表面的な解決にすぎません。


答えを教えられても、子ども本人に経験や感情が伴わなければ、英作文や面接で自分の言葉として伝えることは難しいのです。


自分の気持ちや考えを自分の言葉で表現できるようになるためには、単に答えを教えるだけではなく、「感じる力」を育てることが必要です。


「感じる力」を育てるために大切な経験からの学び


「感じる力」とは、自分の経験や感情に気づき、それを言葉で表せる力のことです。


この力を育てるためには、日々の小さな経験から感じる練習を積み重ねることが欠かせません。


例えば、


  • 自然の中で遊ぶこと風の音、草のにおい、日差しの暖かさなど、五感で感じたことを大切にします。

  • 友達や家族とのやさしいコミュニケーションうれしかったこと、困ったことを話し合い、相手の気持ちも感じ取る練習をします。

  • 本や映画の感想を共有すること登場人物の気持ちに寄り添い、自分ならどう感じるかを考える機会です。


これらの経験を通して、「感じたこと」を見つけ、それを言葉にする習慣をつけていくことが、英作文や面接での表現力アップにつながります。

英作文と面接で「感じたことがない」を伝える工夫


~自分の経験から感じたことを言語化する練習~


英作文や面接で「感じたことがない」と答えるのは決して悪いことではありませんが、そこからさらに成長するには、「自分の経験から感じたことを言葉にする練習」が必要です。


たとえまだ直接そのテーマを体験していなくても、普段の生活の中で感じた小さな気持ちや、周りの人の話から得た感情を言葉にしていくことが大切です。


自分の経験を振り返る習慣をつける


たとえば、「今日はどんなことが楽しかった?」と聞かれたら、すぐに思い出せなくてもいいのです。


ゆっくり思い返し、「お母さんが作ってくれたごはんが美味しかった」や「友達と遊んで笑った」など、小さなことでもいいので感じたことを見つけて言葉にします。


具体的な質問で感じたことを引き出す


「どうしてそう思ったの?」


「その時、どんな気持ちだった?」


「体のどこがどう感じた?」


など、具体的に質問すると、自然と言葉が出てきやすくなります。


書く練習と話す練習を繰り返す


英作文の練習だけでなく、日常会話や模擬面接など、感じたことを話す練習も大切です。


書くことで考えを整理し、話すことで自信がつきます。


想像力を使った感情表現の練習


直接経験がないことでも、似たような状況を想像して「もし自分がこうだったらどう感じるか?」を考えてみると、自分の意見や感情を持ちやすくなります。


家庭や学校でできる「感じる力」トレーニング


  • 毎日の会話で感情を言葉にする習慣をつける「今日うれしかったことは?」「びっくりしたことは?」など、感じたことを話す時間をつくりましょう。

  • 読書や映画の感想をみんなで話す登場人物の気持ちや自分の感想を共有し、感じる力を伸ばします。

  • 自然や芸術に触れる機会を増やす五感を使う体験を通じて、感性を豊かに育てます。

  • 安心して間違えてもいい環境をつくる間違いを恐れずに表現できる場は、自信につながります。


まとめ

~感じる力は子どもたちの未来を支える~


英作文や面接で「分からない」と言う子どもたちの多くは、実は「感じたことがない」だけです。


そこに気づき、経験から感じたことを言葉にする練習を重ねることが、表現力を育てる第一歩になります。


大切なのは、答えを教えることよりも、感じる心に寄り添い、安心して自分の気持ちを伝えられる環境を作ること。


そうした経験の積み重ねが、子どもたちの自信や創造力を育み、豊かな未来へとつながっていきます。




記事作成者 (Manami Palmini



講師経歴

​​

  • 国際基督教大学、大学院にて英語の集中クラスを受けながら、演劇や脚本の研究に携わる

  • 日本の個人塾で3年間英語講師としての経験あり

  • ​ニューヨーク大学(NYU)大学院にて芸術教育学を学び、言語学習における芸術活動の効果について研究

  • ​TESOL(英語教授法)資格あり

過去のサポート歴

  • 現地校、日本人学校に通うお子さんの日常英会話

  • 英検、中学、高校、大学受験対策

  • 駐在の方のためのビジネス英会話

  • お子さんがいる方のためのママ友さんとのスモールトーク、学校関連の会話

  • 研究員として渡米された方のためのプレゼンテーションのお手伝い


 
 
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