top of page

アメリカ流「ディスカッション型リーディング」で思考力を鍛える

はじめに


英語学習をしていると、「もっと速く読めるようになりたい」「単語力を増やしたい」という目標を立てる人は多いですよね。


しかし、アメリカの学校や大学で重視されるリーディング力は、ただ文章を理解することにとどまりません。


そこでは、「読んだ内容をもとに自分の考えを組み立て、他者と意見を交わす力」が求められます。


これは単なる読解力ではなく、クリティカルシンキング(批判的思考)と深く結びついたスキルです。


この記事では、アメリカ流のリーディング方法を通じて、思考力を鍛えるヒントと、実践方法をご紹介します。


ree

アメリカのリーディング授業がユニークな理由


読解は「インプット」ではなく「対話」の入り口


アメリカの学校では、読書の後に必ずと言っていいほどディスカッションがセットで行われます。


授業では「本文に書いてあること」だけでなく、「あなたはどう思うか?」「その意見の根拠は何か?」といった質問が飛び交います。


つまり、読解はゴールではなく、会話や議論のためのスタート地点なのです。


答えは一つではない


日本の読解問題は正解・不正解が明確な形式が多いのに対し、アメリカでは複数の答えが許容されることが珍しくありません。


例えば、小説を読んだあとに「主人公の行動は正しかったと思うか?」という問いがあれば、立場によって答えは変わります。


重要なのは、結論そのものよりも、その結論に至るまでの思考のプロセスです。


背景知識と批判的視点が不可欠


アメリカのリーディングでは、文章に書かれている情報を鵜呑みにせず、背景や意図を読み解く視点が求められます。


例えば新聞記事なら、「この記者はどんな立場から書いているのか?」「他の情報源ではどう報じているのか?」といった比較も行います。


アメリカ式「ディスカッション型リーディング」の流れ


アメリカの教育現場では、以下のような流れで授業が進みます。


  1. 事前リーディング(Pre-Reading)

    • 文章のジャンルやテーマについて予備知識を整理する。

    • 例:「この話の舞台はいつ?どこ?」「作者はどんな人?」

  2. 精読(Close Reading)

    • キーワードや重要な文章にアンダーライン。

    • 登場人物や論点の変化を追う。

  3. 質問作成(Question Generation)

    • ただ内容を問う質問だけでなく、「あなたはどう思うか?」というオープンな質問も用意する。

  4. ディスカッション(Discussion)

    • 小グループや全体で意見を交換する。

    • 根拠は本文から引用することがルール。

  5. リフレクション(Reflection)

    • 読む前と後で自分の考えがどう変わったかを振り返る。

    • 短いエッセイや感想文を書くことも多い。


思考力を伸ばすための実践テクニック


「なぜ?」を繰り返す


本文中の出来事や意見に対して、なぜそうなったのかを深掘りする質問を自分に投げかけましょう。


  • 「主人公はなぜその選択をしたのか?」

  • 「筆者はなぜこの言葉を選んだのか?」


これを繰り返すことで、表面的な理解から、深い分析へと思考が進みます。


根拠を明確にする


意見を述べるときは、本文の一節を引用するのがアメリカ式。


例えば、"I think the author believes education is important because in paragraph three, she writes..." というように、証拠と意見をセットで伝える習慣を身につけます。


他の視点と比較する


同じテーマについて、複数の資料や記事を読み比べることで、より立体的に物事を捉えられます。


特にニュースやエッセイでは、異なる立場の意見を比較する練習が有効です。


ree

家庭でもできる!思考力を鍛えるリーディング活動


親子でできる「質問ゲーム」


  • 読み終わったら、「この登場人物を一言で表すと?」など遊び感覚で質問を出し合う。

  • 質問は正解が一つではないものにする。


読書×ジャーナル


  • 読んだ内容を短い英作文やメモにまとめる習慣を作る。

  • 「今日読んで学んだこと」「意見が変わった部分」など、考えの変化を記録。


意見を英語で言ってみる


  • 家庭内ディスカッションを英語で行う。

  • 簡単な意見表現(I agree because..., I disagree because...)から始める。


アメリカ式リーディングがもたらす3つの効果


  1. 論理的思考力が身につく

    • 主張と根拠を明確にする習慣が自然に形成される。

  2. 多角的な視点を持てるようになる

    • 賛成・反対両方の立場を考えることで視野が広がる。

  3. 英語での自己表現力が向上する

    • ディスカッションを通じて、自分の意見を英語で伝える練習ができる。


まとめ


アメリカのリーディングは、「読んで理解する」から「読んで考える、議論する」へと発展させる教育です。


単語や速読の練習も大切ですが、それ以上に読みながら思考を深める習慣が、英語力と同時に思考力を伸ばします。


日々の学習や家庭での読書でも、ぜひアメリカ流の「ディスカッション型リーディング」を取り入れてみてください。



きっと、読むことがもっと面白く、意味のある時間になります。




記事作成者 (Manami Palmini


ree

講師経歴

​​

  • 国際基督教大学、大学院にて英語の集中クラスを受けながら、演劇や脚本の研究に携わる

  • 日本の個人塾で3年間英語講師としての経験あり

  • ​ニューヨーク大学(NYU)大学院にて芸術教育学を学び、言語学習における芸術活動の効果について研究

  • ​TESOL(英語教授法)資格あり

過去のサポート歴

  • 現地校、日本人学校に通うお子さんの日常英会話

  • 英検、中学、高校、大学受験対策

  • 駐在の方のためのビジネス英会話

  • お子さんがいる方のためのママ友さんとのスモールトーク、学校関連の会話

  • 研究員として渡米された方のためのプレゼンテーションのお手伝い


 
 
bottom of page