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英検二次試験で評価される“考える英語”の身につけ方

ここ数年、英検の二次試験や各種学校の面接で、評価の基準が変わりつつあります。


以前は「正しい英語が話せるか」「質問に答えられるか」が中心でしたが、今は「自分の考えを、相手とやりとりしながら伝えられるか」が問われています。


つまり、“思考力”と“対話力”の融合が求められているのです。


アメリカに駐在しているご家庭のお子さんにとっても、この変化は大きなチャンス。


なぜなら、アメリカの学校文化そのものが「対話を通じて考える」スタイルだからです。


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英検の面接は「会話型試験」に進化している


英検の二次試験では、スピーチと質疑応答が中心です。


ここで重要なのは、英語の文法の正確さよりも「思考の展開」


たとえば準1級ではこんな質問が出ます:

“Do you think it is important for companies to consider the environment?”「企業が環境を考慮することは重要だと思いますか?」

単純に “Yes, it is.” では終わりません。


面接官は、さらに掘り下げてこう尋ねてきます:

“Why do you think so?” “Can you give an example?”

ここで必要なのは、瞬発的に考え、自分の意見を筋道立てて説明する力


つまり、「考えながら話す力=思考力×対話力」です。


“考える力”は、英語の勉強だけでは身につかない

多くの受験生が、英検対策としてスピーチの型やフレーズを暗記します。


もちろんそれも大切ですが、本当に評価されるのは「自分の意見を持っているか」です。


英検の面接官は、「英語が話せる人」よりも、「自分の考えを英語で伝えられる人」を高く評価します。


たとえば次のような違いです。

回答のタイプ

内容

評価

暗記型

“Yes, because it’s good for the Earth.”

浅い・一般的

思考型

“Yes, because companies have a big influence on society. If they change their policies, people will follow.”

深い・論理的

「考える力」とは、なぜそう思うのか、どんな根拠があるのかを整理して語れる力。


そしてそれは、単なる英語力の延長ではなく、日常の中で鍛えられる思考習慣なのです。


「思考力×英語力」を伸ばす日常のトレーニング法


ここでは、家庭でもできる“英検面接的思考トレーニング”を3つ紹介します。


① ニュースや身近な話題で「Why?」を繰り返す


たとえばニュースを見たあとにこう問いかけてみましょう。

“Why do you think people litter?” “Why should we recycle?”

親子で対話しながら、「自分の意見」を掘り下げる習慣をつけることが大切です。


日本語でも構いません。考えるプロセスこそが、英語のスピーキング力の基礎になります。


② 「3ステップ意見構築法」で整理する


英検のスピーチ構成は、実はシンプルなロジックでできています。


  1. 意見(I think...)

  2. 理由(Because...)

  3. 具体例(For example...)


これを小学生や中学生でも練習できます。たとえば次のように:

Q: “Do you think animals should be kept in zoos?” A: “No, because animals need freedom. For example, elephants can’t walk long distances in small cages.”

この「意見→理由→例」の流れを何度も練習することで、自然と“考える英語”が身につきます。

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③ 「相手の立場」を考える練習をする


思考力とは、自分の意見を持つことだけではありません。


相手の意見を理解し、対話を通じて考えを深める力でもあります。


たとえば家庭でこんな練習ができます。


  • “Some people think homework is not necessary. What do you think?”→ “I think it is important, but maybe too much homework is stressful.”


「賛成か反対か」だけでなく、バランスの取れた意見を持つことが面接では高く評価されます。


アメリカ滞在が「思考力の実践」に変わる理由


アメリカの学校では、幼い頃からディスカッション中心の授業が行われます。


“Agree or disagree?” “Why?” “What’s your opinion?” という質問は日常茶飯事。


そのため、アメリカで生活している日本人の子どもたちは、すでに「考えて話す」訓練のフィールドに立っているのです。


たとえば――

  • 現地の友だちと意見が違うとき、どう話し合うか

  • 環境問題や多様性についてディスカッションする授業

  • 教師に「Why?」と問われたときに自分の考えを伝える場面


これらの経験は、英検面接での“自然な英語的思考”に直結します。


家庭でできる「思考力英語」の育て方


英検対策を単なる“受験勉強”にせず、思考力を育てる英語教育に変えるコツを紹介します。


子どもの発言を遮らない →「そう思うんだね。なぜ?」と対話を広げましょう。


間違いよりも“考えのプロセス”をほめる → “That’s an interesting idea.” と英語で返すのもおすすめです。


日本語で深く考える時間も大切にする → 思考は言語を超えて鍛えられるもの。日本語の議論も英語力に生きます。


面接官が見ているのは「答え」と「人間性」


英検の二次試験は、単なるスピーキングテストではありません。


面接官は、受験者の成熟度も見ています。


  • 自分の考えを持っているか

  • 相手の質問に誠実に答えているか

  • 自信と柔軟性を両立しているか


このような姿勢が、英語力以上に印象に残るのです。


だからこそ、「思考力」と「対話力」をバランスよく育てることが合格の鍵になります。


おわりに:思考力は“英語力の最終形”


これからの時代、AIがどんなに進化しても、「自分で考え、他者と対話し、未来を創る力」は人間にしかありません。


英検や面接は、その力を試す絶好の機会。


単なるテスト対策ではなく、生きるための思考訓練として捉えることが大切です。


アメリカで育つお子さんたちが、日々の英語環境と対話を通して“考える英語”を身につけていけば、英検の合格はもちろん、その先のグローバル社会でも必ず力を発揮できるでしょう。




記事作成者 (Manami Palmini


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講師経歴

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  • 国際基督教大学、大学院にて英語の集中クラスを受けながら、演劇や脚本の研究に携わる

  • 日本の個人塾で3年間英語講師としての経験あり

  • ​ニューヨーク大学(NYU)大学院にて芸術教育学を学び、言語学習における芸術活動の効果について研究

  • ​TESOL(英語教授法)資格あり

過去のサポート歴

  • 現地校、日本人学校に通うお子さんの日常英会話

  • 英検、中学、高校、大学受験対策

  • 駐在の方のためのビジネス英会話

  • お子さんがいる方のためのママ友さんとのスモールトーク、学校関連の会話

  • 研究員として渡米された方のためのプレゼンテーションのお手伝い


 
 
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