英検二次試験で評価される“考える英語”の身につけ方
- Manami
- Oct 13
- 5 min read
ここ数年、英検の二次試験や各種学校の面接で、評価の基準が変わりつつあります。
以前は「正しい英語が話せるか」「質問に答えられるか」が中心でしたが、今は「自分の考えを、相手とやりとりしながら伝えられるか」が問われています。
つまり、“思考力”と“対話力”の融合が求められているのです。
アメリカに駐在しているご家庭のお子さんにとっても、この変化は大きなチャンス。
なぜなら、アメリカの学校文化そのものが「対話を通じて考える」スタイルだからです。

英検の面接は「会話型試験」に進化している
英検の二次試験では、スピーチと質疑応答が中心です。
ここで重要なのは、英語の文法の正確さよりも「思考の展開」。
たとえば準1級ではこんな質問が出ます:
“Do you think it is important for companies to consider the environment?”「企業が環境を考慮することは重要だと思いますか?」
単純に “Yes, it is.” では終わりません。
面接官は、さらに掘り下げてこう尋ねてきます:
“Why do you think so?” “Can you give an example?”
ここで必要なのは、瞬発的に考え、自分の意見を筋道立てて説明する力。
つまり、「考えながら話す力=思考力×対話力」です。
“考える力”は、英語の勉強だけでは身につかない
多くの受験生が、英検対策としてスピーチの型やフレーズを暗記します。
もちろんそれも大切ですが、本当に評価されるのは「自分の意見を持っているか」です。
英検の面接官は、「英語が話せる人」よりも、「自分の考えを英語で伝えられる人」を高く評価します。
たとえば次のような違いです。
「考える力」とは、なぜそう思うのか、どんな根拠があるのかを整理して語れる力。
そしてそれは、単なる英語力の延長ではなく、日常の中で鍛えられる思考習慣なのです。
「思考力×英語力」を伸ばす日常のトレーニング法
ここでは、家庭でもできる“英検面接的思考トレーニング”を3つ紹介します。
① ニュースや身近な話題で「Why?」を繰り返す
たとえばニュースを見たあとにこう問いかけてみましょう。
“Why do you think people litter?” “Why should we recycle?”
親子で対話しながら、「自分の意見」を掘り下げる習慣をつけることが大切です。
日本語でも構いません。考えるプロセスこそが、英語のスピーキング力の基礎になります。
② 「3ステップ意見構築法」で整理する
英検のスピーチ構成は、実はシンプルなロジックでできています。
意見(I think...)
理由(Because...)
具体例(For example...)
これを小学生や中学生でも練習できます。たとえば次のように:
Q: “Do you think animals should be kept in zoos?” A: “No, because animals need freedom. For example, elephants can’t walk long distances in small cages.”
この「意見→理由→例」の流れを何度も練習することで、自然と“考える英語”が身につきます。

③ 「相手の立場」を考える練習をする
思考力とは、自分の意見を持つことだけではありません。
相手の意見を理解し、対話を通じて考えを深める力でもあります。
たとえば家庭でこんな練習ができます。
“Some people think homework is not necessary. What do you think?”→ “I think it is important, but maybe too much homework is stressful.”
「賛成か反対か」だけでなく、バランスの取れた意見を持つことが面接では高く評価されます。
アメリカ滞在が「思考力の実践」に変わる理由
アメリカの学校では、幼い頃からディスカッション中心の授業が行われます。
“Agree or disagree?” “Why?” “What’s your opinion?” という質問は日常茶飯事。
そのため、アメリカで生活している日本人の子どもたちは、すでに「考えて話す」訓練のフィールドに立っているのです。
たとえば――
現地の友だちと意見が違うとき、どう話し合うか
環境問題や多様性についてディスカッションする授業
教師に「Why?」と問われたときに自分の考えを伝える場面
これらの経験は、英検面接での“自然な英語的思考”に直結します。
家庭でできる「思考力英語」の育て方
英検対策を単なる“受験勉強”にせず、思考力を育てる英語教育に変えるコツを紹介します。
✅ 子どもの発言を遮らない →「そう思うんだね。なぜ?」と対話を広げましょう。
✅ 間違いよりも“考えのプロセス”をほめる → “That’s an interesting idea.” と英語で返すのもおすすめです。
✅ 日本語で深く考える時間も大切にする → 思考は言語を超えて鍛えられるもの。日本語の議論も英語力に生きます。
面接官が見ているのは「答え」と「人間性」
英検の二次試験は、単なるスピーキングテストではありません。
面接官は、受験者の成熟度も見ています。
自分の考えを持っているか
相手の質問に誠実に答えているか
自信と柔軟性を両立しているか
このような姿勢が、英語力以上に印象に残るのです。
だからこそ、「思考力」と「対話力」をバランスよく育てることが合格の鍵になります。
おわりに:思考力は“英語力の最終形”
これからの時代、AIがどんなに進化しても、「自分で考え、他者と対話し、未来を創る力」は人間にしかありません。
英検や面接は、その力を試す絶好の機会。
単なるテスト対策ではなく、生きるための思考訓練として捉えることが大切です。
アメリカで育つお子さんたちが、日々の英語環境と対話を通して“考える英語”を身につけていけば、英検の合格はもちろん、その先のグローバル社会でも必ず力を発揮できるでしょう。





