「リスニングが苦手で、英語が聞き取れないんです」
英語講師として様々な生徒さんとかかわっていく中で、このような相談をされたことは数えきれないほどにあります。私自身、ニューヨークに来たばかりの時はリスニングで苦労しました。話し方というのはそれぞれ違うので、人によって英語のアクセント、スピード、声の大きさなどが変わります。なので、一人の英語に慣れても、別の人と話すと全く何を言われているのか分からない、という場面は良くありました。今回は、私の中でリスニング力という概念を考え直すきっかけとなったエピソードを紹介します。
衝撃だった「カナハ ウォテル」事件
私が日本の大学に通っていた時に、東京都内のホテルでベルスタッフとしてアルバイトをしていた時のことです。外国人の方もよくいらっしゃったホテルなのですが、ある日、外国人のお客様を部屋へ案内しているときに、こう質問されました。
「カナハ ウォテル?」
「………はい?」
これがリアルな私のリアクションでした。え、何を聞かれたんだ、と。あまりにもわからな過ぎて、この人はアラビア語を話しているんじゃないか、と現実逃避すらしそうになりました。「ス、スローリー、プリーズ?」そう言った私に、その人はスーッと深呼吸して、言い直してくれました。
「カ・ナ・ハ・ウォテル?」
さっきと一緒だよ!と心の中でツッコんだのですが、当時の私はホテルスタッフとして、なんとかこの質問に答えなければいけないと頭をフル回転させました。すると、その人が「ウォテル、ウォテル」と言いながら、何かを飲んでる仕草を見せたのです。そこで、やっと私は「ウォテル=ウォーター」だと言うことに気づき、確認を取ったところ、「イエス、イエス」と答えてくれました。さて、「ウォテル」の箇所は分かったものの、まだ最初の「カナハ」の謎が残っています。「カナハ」が何かを考えてもこのままでは埒が明かないと思って、この人が今の状況でどんな質問をするだろうかと考えました。水がどこで売っているか、って聞いてる?でも、それだと“Where”で始まるはずだから、最初の音が「カ」なのはおかしい。色々考えた結果、一つ浮かんだ可能性が、「カ」の音は“Can”じゃないかということでした。そこからさらに頭をぐるぐるさせて、やっとのことでたどり着いた答えは“Can I have water?”でした。どうやらボトルの水が欲しかったようで、「部屋にボトルがありますよ」と答えて事なきを得たのでした。このエピソードから学んだのは、聞こえないものは聞こえないので、足りていな音を文脈や文法の知識を使いながら補うスキルが必要であるということでした。
聞き取れない音は、聞こえるようにはならないのか?
リスニング力を強化する方法はないのでしょうか?私の持論としては、聞き取れない音を「覚える」ことが最も有効だと思います。つまり、「カナハ ウォテル」を“Can I have water?”と聞き取ろうとするのではなく、「カナハ ウォテル」が“Can I have water?”の聞こえ方の一つだと記憶するのです。こうすることで、今後同じようなアクセントを持った人と話す際に、どの音を頭の中で補完する必要があるかが分かるようになります。
さらに、様々なアクセントに慣れるためには、一つ一つのアクセントを何度も聞く必要があります。これによって、「ああ、このアクセントはこういう聞こえ方をするのか」と認識できるようになり、リスニング力が向上するのです。
具体的には、以下の方法を試してみてください。
多様なアクセントを聞く:映画やドラマ、YouTube動画などを活用し、様々な地域や背景の人々が話す英語を聞くようにしましょう。これにより、異なる発音やイントネーションに慣れることができます。
シャドーイング:音声を聞きながら、その音声をできるだけ正確に真似して発音する練習です。これにより、耳と口が連動し、自然な発音とリズムを身につけることができます。
ディクテーション:短い音声を何度も聞きながら、聞き取った内容を文字に書き起こす練習です。これにより、細かい音の違いに気づく力が養われます。
スクリプトを活用する:映画やドラマのスクリプトを手に入れて、音声と照らし合わせながら聞く練習をしましょう。特に聞き取りにくい会話部分を重点的に繰り返すことで、リスニング力が向上します。
リピーティング:短い音声を聞いた後、内容を思い出しながら口に出して繰り返す練習です。これにより、短期記憶とリスニング力が同時に鍛えられます。
リスニング力は、継続的な練習と多様な音声への触れ合いが鍵です。覚えた音のパターンを蓄積していくことで、自然とリスニング力が少しずつ上がっていきますよ。
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記事作成者 (Manami Palmini) 講師経歴
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