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受験の呪縛をほどいてあげよう。アメリカで「できない」は、始まりのサイン

──できない今より、「どうしたらできるか」を見てほしい


アメリカに駐在している日本人家庭の中には、現地校や補習校に通う子どもたちの教育について、日々真剣に考えている方が多くいらっしゃいます。


特に、小学校高学年〜中学生くらいになると、日本の受験制度学力評価の基準をどう捉えるか、悩む場面も増えてくるのではないでしょうか。


日本では「できているか、できていないか」「合格か、不合格か」という明確な“点”での評価が一般的です。


でも、アメリカの教育環境に身を置くと、様々な基準があると気づかされます。


今回は、「受験文化がもたらす“点の教育観”」と、そこから抜け出すヒントを、アメリカでの子育て視点から考えてみたいと思います。


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「できていない」ことが、なぜこんなに怖いのか


子どものテスト結果、模試の判定、スピーキングの出来具合……。


教育の場面では、どうしても「評価」がついて回ります。


日本の受験文化では、


✔ できる=良いこと


✔ できない=悪いこと


という構図が、あまりに当たり前になっています。


特に帰国後の中学受験、高校受験、英検などを意識すると、「今、合格ラインに届いているかどうか」という“点”にばかり目が向きがちです。


でも、その結果、子どもが「今できていない=自分はダメ」と思い込んでしまうこともあるのです。


本来、できないことは「過程」にすぎない


たとえば、逆上がりができなかったら。


九九がまだ全部言えなかったら。


英語で文章がスラスラ書けなかったら。


それって、「この子はもう無理」と判断することですか?


そんなはずはありませんよね。


大人だって、初めてのことをすぐにうまくできるわけではありません。


「できない」というのは、「できるようになる前の状態」にすぎない。


それなのに、「今できない=失敗」と見なされてしまうことが、子どもたちの成長の芽をつんでしまうことがあるのです。


アメリカの教育が大切にしている「プロセスの価値」


アメリカの現地校や教育現場では、「結果」よりも「過程」を大切にする場面が多く見られます。


  • 発表で失敗しても「チャレンジしたこと」を評価する

  • 答えが違っても「考えた道のり」に注目する

  • 自分の意見を述べることに「正解・不正解」はない


こうした教育観にふれていると、「できないこと」に過剰に反応せず、「どうやってできるようになるか」を一緒に考える空気感を感じることができます。


アメリカでの生活は、こうした「線で見る教育」に目を向ける良い機会となります。


点ばかりを見ていると、子どもは考えるのをやめてしまう


「とにかく正解を言いたがる」


「失敗を極端に怖がる」


「考える前に答えを探す」


こうした子どもたちの姿勢は、受験文化に由来する“点の教育観”の影響とも言えます。


評価の基準が「○か×か」「合格か不合格か」ばかりだと、子どもは“自分の考えで答えを作る”ことをやめてしまうのです。


でも英語学習、とくに英作文や面接のような場面では、「正解のない問い」に自分の言葉で答える力が求められます。


だからこそ、

「あなたはどう思う?」「それはなぜ?」「その考えに至った理由は?」

と問いかけながら、思考のプロセスに寄り添う教育がますます大切になってきます。


英語学習こそ、「線」で見る視点が大切


アメリカで生活する子どもたちは、毎日英語に触れながら、少しずつ言葉を吸収していきます。


でもそれは、今日から明日に劇的に変わるような“点の伸び方”ではありません。


週単位、月単位で、「あれ、いつの間にか話せるようになってる」と気づくような、じわじわと続いていく“線”の成長なのです。


「英検に合格した」「学校の英語のテストで良い点を取った」といった“点”だけで評価してしまうと、本質的な学びを見逃してしまう可能性かあります。


「どうしたらできるようになるか?」の問いを日常に


「今できていない」に注目するのではなく、

「どんな練習をすればよさそう?」「前はどこまでできてた?」「今日はできるようになったことあった?」

そんなふうに、“できるようになる過程”を言葉にする習慣を、親子で少しずつ取り入れてみてください。


特にアメリカでの駐在生活では、英語を学ぶ場面が日常のあちこちにあります。


買い物のとき、友達と話すとき、宿題をするとき……。


生活そのものが、英語力アップの“線”を支えているのです。

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「線」で見ることは、子どもを信じること


受験やテストは、どうしても「点」で子どもを見る場面です。


でも、日常の教育で本当に必要なのは、点ではなく、線で見るまなざし


「今どれだけできてるか」より、「これからどう育っていくか」を信じてあげること。


それが、子どもにとっての安心になり、自分で伸びていく力につながります。


アメリカでの生活は、受験中心の教育観から少し離れて、「学ぶって面白い」「考えるって楽しい」と思えるチャンスでもあります。



記事作成者 (Manami Palmini


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講師経歴

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  • 国際基督教大学、大学院にて英語の集中クラスを受けながら、演劇や脚本の研究に携わる

  • 日本の個人塾で3年間英語講師としての経験あり

  • ​ニューヨーク大学(NYU)大学院にて芸術教育学を学び、言語学習における芸術活動の効果について研究

  • ​TESOL(英語教授法)資格あり

過去のサポート歴

  • 現地校、日本人学校に通うお子さんの日常英会話

  • 英検、中学、高校、大学受験対策

  • 駐在の方のためのビジネス英会話

  • お子さんがいる方のためのママ友さんとのスモールトーク、学校関連の会話

  • 研究員として渡米された方のためのプレゼンテーションのお手伝い


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