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点で見ると不安になる。英語は“線”で伸びていくもの

──できていないことは、できるようになる“途中”にすぎない


アメリカに駐在する家庭にとって、子どもの英語力は大きな関心事だと思います。


「英語が話せるようになるかな?」


「現地校の授業についていけるかな?」


親としては、不安と期待の入り混じる毎日ではないでしょうか。


そんな中では、「今、何ができていないか」に目が行きがちになります。


  • 単語が覚えられていない

  • 英作文が苦手

  • 現地の子と英語でうまく話せない

  • 英語の読解に時間がかかる


でも実は、「今できていないこと」ばかりに目を向けると、学習の本質を見失ってしまうことがあります。


この記事では、アメリカで子育てをする家庭に向けて、英語学習を「点」ではなく「線」で見る視点の大切さをお伝えしたいと思います。


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「できた・できない」で判断すると、子どもは自信を失う


英語学習に限らず、子どもの成長には個人差があります。


それなのに、ある瞬間の「できた・できない」だけを見てしまうと、子どものモチベーションを下げてしまうことも。


たとえば:

  • 単語テストで点数が低かった

  • 会話で言い返せなかった

  • 授業で質問されて黙ってしまった


こうした一場面は、あくまで「学びの途中」にすぎません。



英語力は「点の評価」ではなく「線の成長」で見る


英語力は、一夜にして身につくものではありません。


単語・文法・リスニング・スピーキング・ライティング…どれも積み重ねによって少しずつ育っていく力です。


大切なのは、「できない点」に注目するのではなく、どのようにその力が伸びているかという“線の成長”に目を向けること。


たとえば:

  • 3か月前よりも、聞き取れる英語が増えている

  • 学校で自分から挙手できるようになった

  • 辞書を使ってでも、自分の言いたいことを伝えようとしている


こうした「プロセスの成長」に気づき、認めてあげることが、子どもにとっての大きな自信につながります。


「できないこと」は、できるようになる途中の姿


日本の教育では、「ミスをしないこと」「正解を出すこと」が重視される傾向があります。


そのため、子どもたちも「できない=悪いこと」と思いがちです。


でも、アメリカの教育では「ミス=成長のチャンス」ととらえる文化があります。


できないことは「才能がない証拠」ではありません。


むしろ、「できるようになるために、今どこにいるのか」を示してくれるサインなのです。


「どうしたらできるようになるか」に目を向ける


「うちの子、英語のリーディングが遅いんです」


「英語の授業で発言しません」


そんなとき、私が抱く質問はひとつだけです。

「じゃあ、どうしたら少しでも前に進めそうですか?」

それは、たとえば:

  • 自分のペースで音読を続ける

  • 得意なジャンルの本から始める

  • 言葉に詰まっても、沈黙を恐れずに発言してみる

  • 英語を話す機会を、家庭でも増やしてみる


このように、「今の課題」から「未来の改善策」へと視点を移すことが、前向きな学習につながります。


大人が「こうしなさい」と言うのではなく、子ども自身が「こうしてみたい」「これならできる」と思えるような関わり方が必要になります。


子どもの英語力は“じわじわ伸びていく”


アメリカに住んでいるのだから、すぐに英語が話せるようになる。


そう思われることもありますが、現実はそんなに簡単ではありません。


子どもたちは、日々英語に触れながらも、


  • 「聞いて分かる」けど「話すのは怖い」

  • 「読めるけど」まだ「書くのが苦手」

  • 「話せるようになったけど」文法は苦手


そんな不ぞろいな成長を、少しずつ積み上げています。


英語力は、“じわじわ”と伸びていくもの。


あるとき急に爆発的に伸びることもあれば、足踏みする時期もある。


でも、そのすべてが「線」の一部なのです。

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「過程を信じる」ことが、子どもの安心につながる


アメリカでの駐在生活は、子どもにとっても親にとっても、想像以上に挑戦の連続です。


英語が通じないもどかしさ、文化の違い、孤独感…。


そんな中で、子どもは毎日、少しずつでも“がんばって前に進んでいる”のです。


だからこそ、「なんでできないの?」ではなく、

「今、どこまでできてる?」「前と比べてどう変わった?」「この先、どうなっていきたい?」

そんなふうに、“過程”を一緒に振り返ってあげてください。


親が信じる目で見守ってくれていることが、子どもにとって何よりの安心になります。


おわりに:線で見るから、希望が持てる


子どもの成長は「結果」ではなく「プロセス」に価値があります。


「今できない」ことは、できるようになるまでの途中の姿。


焦らず、比べず、一歩ずつ進んでいく子どもの力を信じてあげてください。


そして、何よりも大切なのは、英語学習を“点”ではなく“線”で見ること。


点だけを見て一喜一憂するのではなく、長い目で見たときに、

「あのとき、できなかったことが、今はできるようになってる」

そんな未来の自分に気づけたとき、子どもは「学ぶことが面白い」と思えるようになります。


アメリカでの駐在生活は、英語力を伸ばすチャンスであり、それと同時に、「学び方そのもの」を見直すチャンスでもあります。


一つひとつの「できた」「できなかった」にとらわれず、子どもと一緒に“線”を描くように、英語学習の旅を楽しんでいきましょう。




記事作成者 (Manami Palmini


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講師経歴

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  • 国際基督教大学、大学院にて英語の集中クラスを受けながら、演劇や脚本の研究に携わる

  • 日本の個人塾で3年間英語講師としての経験あり

  • ​ニューヨーク大学(NYU)大学院にて芸術教育学を学び、言語学習における芸術活動の効果について研究

  • ​TESOL(英語教授法)資格あり

過去のサポート歴

  • 現地校、日本人学校に通うお子さんの日常英会話

  • 英検、中学、高校、大学受験対策

  • 駐在の方のためのビジネス英会話

  • お子さんがいる方のためのママ友さんとのスモールトーク、学校関連の会話

  • 研究員として渡米された方のためのプレゼンテーションのお手伝い


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