点で見ると不安になる。英語は“線”で伸びていくもの
- Manami
 - Jul 21
 - 5 min read
 
──できていないことは、できるようになる“途中”にすぎない
アメリカに駐在する家庭にとって、子どもの英語力は大きな関心事だと思います。
「英語が話せるようになるかな?」
「現地校の授業についていけるかな?」
親としては、不安と期待の入り混じる毎日ではないでしょうか。
そんな中では、「今、何ができていないか」に目が行きがちになります。
単語が覚えられていない
英作文が苦手
現地の子と英語でうまく話せない
英語の読解に時間がかかる
でも実は、「今できていないこと」ばかりに目を向けると、学習の本質を見失ってしまうことがあります。
この記事では、アメリカで子育てをする家庭に向けて、英語学習を「点」ではなく「線」で見る視点の大切さをお伝えしたいと思います。

「できた・できない」で判断すると、子どもは自信を失う
英語学習に限らず、子どもの成長には個人差があります。
それなのに、ある瞬間の「できた・できない」だけを見てしまうと、子どものモチベーションを下げてしまうことも。
たとえば:
単語テストで点数が低かった
会話で言い返せなかった
授業で質問されて黙ってしまった
こうした一場面は、あくまで「学びの途中」にすぎません。
英語力は「点の評価」ではなく「線の成長」で見る
英語力は、一夜にして身につくものではありません。
単語・文法・リスニング・スピーキング・ライティング…どれも積み重ねによって少しずつ育っていく力です。
大切なのは、「できない点」に注目するのではなく、どのようにその力が伸びているかという“線の成長”に目を向けること。
たとえば:
3か月前よりも、聞き取れる英語が増えている
学校で自分から挙手できるようになった
辞書を使ってでも、自分の言いたいことを伝えようとしている
こうした「プロセスの成長」に気づき、認めてあげることが、子どもにとっての大きな自信につながります。
「できないこと」は、できるようになる途中の姿
日本の教育では、「ミスをしないこと」「正解を出すこと」が重視される傾向があります。
そのため、子どもたちも「できない=悪いこと」と思いがちです。
でも、アメリカの教育では「ミス=成長のチャンス」ととらえる文化があります。
できないことは「才能がない証拠」ではありません。
むしろ、「できるようになるために、今どこにいるのか」を示してくれるサインなのです。
「どうしたらできるようになるか」に目を向ける
「うちの子、英語のリーディングが遅いんです」
「英語の授業で発言しません」
そんなとき、私が抱く質問はひとつだけです。
「じゃあ、どうしたら少しでも前に進めそうですか?」
それは、たとえば:
自分のペースで音読を続ける
得意なジャンルの本から始める
言葉に詰まっても、沈黙を恐れずに発言してみる
英語を話す機会を、家庭でも増やしてみる
このように、「今の課題」から「未来の改善策」へと視点を移すことが、前向きな学習につながります。
大人が「こうしなさい」と言うのではなく、子ども自身が「こうしてみたい」「これならできる」と思えるような関わり方が必要になります。
子どもの英語力は“じわじわ伸びていく”
アメリカに住んでいるのだから、すぐに英語が話せるようになる。
そう思われることもありますが、現実はそんなに簡単ではありません。
子どもたちは、日々英語に触れながらも、
「聞いて分かる」けど「話すのは怖い」
「読めるけど」まだ「書くのが苦手」
「話せるようになったけど」文法は苦手
そんな不ぞろいな成長を、少しずつ積み上げています。
英語力は、“じわじわ”と伸びていくもの。
あるとき急に爆発的に伸びることもあれば、足踏みする時期もある。
でも、そのすべてが「線」の一部なのです。

「過程を信じる」ことが、子どもの安心につながる
アメリカでの駐在生活は、子どもにとっても親にとっても、想像以上に挑戦の連続です。
英語が通じないもどかしさ、文化の違い、孤独感…。
そんな中で、子どもは毎日、少しずつでも“がんばって前に進んでいる”のです。
だからこそ、「なんでできないの?」ではなく、
「今、どこまでできてる?」「前と比べてどう変わった?」「この先、どうなっていきたい?」
そんなふうに、“過程”を一緒に振り返ってあげてください。
親が信じる目で見守ってくれていることが、子どもにとって何よりの安心になります。
おわりに:線で見るから、希望が持てる
子どもの成長は「結果」ではなく「プロセス」に価値があります。
「今できない」ことは、できるようになるまでの途中の姿。
焦らず、比べず、一歩ずつ進んでいく子どもの力を信じてあげてください。
そして、何よりも大切なのは、英語学習を“点”ではなく“線”で見ること。
点だけを見て一喜一憂するのではなく、長い目で見たときに、
「あのとき、できなかったことが、今はできるようになってる」
そんな未来の自分に気づけたとき、子どもは「学ぶことが面白い」と思えるようになります。
アメリカでの駐在生活は、英語力を伸ばすチャンスであり、それと同時に、「学び方そのもの」を見直すチャンスでもあります。
一つひとつの「できた」「できなかった」にとらわれず、子どもと一緒に“線”を描くように、英語学習の旅を楽しんでいきましょう。





