アメリカに駐在や留学で長期滞在する際に、生活の一部として必ず関わるのが医療保険です。アメリカの医療制度は日本とは大きく異なり、複雑で理解しにくい部分が多いため、適切な医療保険を選び、理解しておくことが重要です。アメリカの保険制度を理解していないと、目が飛び出るような請求が来たりするので注意が必要です。この記事では、アメリカの医療保険に関して知っておくべきポイントと、気をつけるべき点について詳しく解説しますね。

1. 医療保険の基本的な仕組み
アメリカの医療保険は主に民間の保険会社によって提供されており、個人が自分で選んで加入する形式が一般的です。保険にはさまざまなプランがあり、選ぶプランによってカバーされる内容や費用が異なります。以下の主要な用語を理解しておくことが必要です。
Premium(保険料): 保険に加入するために毎月支払う費用。プランによって異なり、高額なプランはカバー範囲が広く、安価なプランは自己負担が多くなる傾向があります。
Deductible(自己負担額): 医療費が保険でカバーされる前に、自己負担する必要のある金額。例えば、$2,000のDeductibleがあるプランでは、最初の$2,000は自己負担で支払い、その後に保険が適用されます。
Co-pay(共同負担額): 医療サービスを受けるたびに支払う定額の費用。例えば、医師の診察ごとに$20のCo-payが発生することがあります。
Out-of-pocket maximum(自己負担の上限): 一年間で支払う自己負担額の上限。上限に達した後は、保険が100%の医療費をカバーすることが一般的です。
2. プランの種類と選び方
アメリカの医療保険プランにはさまざまな種類があります。主なプランには以下のようなものがあります。
HMO(Health Maintenance Organization): 定められたネットワーク内の医療機関のみで診療を受けることができ、Primary Care Physician(主治医)を通じて専門医の紹介を受ける必要があります。コストは比較的抑えられますが、選択肢が限定されることがデメリットです。
PPO(Preferred Provider Organization): ネットワーク外の医療機関でも診療を受けることができ、自由度が高いプランです。ネットワーク内の医療機関を利用することで、費用が抑えられますが、HMOに比べて保険料が高めです。
EPO(Exclusive Provider Organization): 基本的にネットワーク内の医療機関のみで診療を受けることが求められますが、HMOとは異なり、Primary Care Physicianを通さずに専門医にかかることができます。
HDHP(High Deductible Health Plan): Deductibleが高めに設定されている代わりに、保険料が低く抑えられているプランです。健康な方や医療費がかからないと見込まれる方には有利ですが、突然の高額な医療費には注意が必要です。
3. どのプランを選ぶべきか?
プラン選びは、個々のライフスタイルや健康状態、予算に大きく依存します。以下の点を考慮して選ぶと良いでしょう。
健康状態: 定期的に医師の診察を受ける必要がある場合や、持病がある場合は、Deductibleが低く、Co-payが少ないプランが適しています。一方、若くて健康な方は、HDHPのような保険料が低いプランを選び、医療費が発生しない場合には保険料の節約ができます。
家族構成: 家族全体でどれくらいの医療費がかかるかを考慮します。子供がいる場合、定期的な予防接種や病気が想定されるため、PPOやHMOなどのネットワーク内で幅広く対応できるプランが安心です。
財政状況: 月々の保険料が家計に与える影響を考えます。保険料が高いプランは月々の負担が大きいですが、医療費が発生した際の負担が軽くなります。逆に、保険料が安いプランは毎月の負担が軽いですが、医療費がかかると大きな出費になる可能性があります。
4. ネットワークの確認と選択
アメリカの医療保険プランは、ネットワーク内で提携している医師や病院での診療に限って費用が抑えられる仕組みが多いです。そのため、加入を検討する際には、まず自分が利用したい医療機関や医師がネットワーク内に含まれているかどうかを確認することが大切です。
また、引越しや転勤の可能性がある場合、引越し先でも利用できるネットワークかどうかも確認しておきましょう。ネットワーク外での診療は、保険が適用されないか、適用されても自己負担が大きくなることがあります。

5. 保険料以外のコストに注意
医療保険に加入しても、全ての医療費が無料になるわけではありません。保険料以外にも、Deductible、Co-pay、Co-insuranceなど、さまざまなコストが発生します。特に、Deductibleは高額になることが多く、保険に加入していても最初の治療費は自己負担になることが多いです。
保険に加入する前に、自分がどれくらいの医療費を負担する必要があるのかを把握しておきましょう。例えば、年間のOut-of-pocket maximumがどれくらいかを確認しておくと、最悪の場合でもどれくらいの負担が発生するかが予測できます。
6. 必要な追加カバーを検討する
基本的な医療保険プランに加えて、追加でカバーを検討することも重要です。以下のような追加カバーがあります。
歯科保険: 歯科治療はアメリカで非常に高額になるため、歯科保険に加入しておくと安心です。通常の医療保険には含まれていないことが多いです。
視覚保険: 眼鏡やコンタクトレンズの購入、定期的な眼科検診が必要な方は、視覚保険への加入を検討しましょう。
メンタルヘルスカバー: メンタルヘルスケアも重要であり、カウンセリングや精神科の診療が必要な場合には、メンタルヘルスに対応した保険が役立ちます。
7. 保険会社の信頼性とサポート体制
保険会社を選ぶ際には、信頼性や顧客サービスの質も重要です。加入後に保険会社と連絡が取りづらい、サポートが不十分といった問題が起こると、医療費の請求や支払いに関して大きなストレスになります。評判やレビューを確認し、信頼できる保険会社を選ぶことが安心です。
また、駐在や留学中には、言語や文化の違いから医療制度の理解に苦労することがあります。そのため、日本語でサポートが受けられる保険会社や、現地でのサポート体制が整っている保険会社を選ぶことも考慮しましょう。
まとめ
アメリカの医療保険は複雑で、理解するのに時間がかかるかもしれませんが、適切な保険に加入し、コストやカバー内容をしっかりと把握することで、予期せぬ医療費の発生を防ぐことができます。
記事作成者 (Manami Palmini) ![]() 講師経歴
過去のサポート歴
|