子どもの英作文にありがちなつまずきと、その乗り越え方
- Manami
- Jun 27
- 6 min read
「英作文が苦手なんです」
「何を書けばいいか分からないようで…」
アメリカに駐在しているお子さんを教えていると、英検対策や、帰国子女受験対策をお願いされることもよくあります。
特に小学生〜中学生の子どもたちにとって、英作文を書くことはとても大きなチャレンジです。
文法や単語の問題以上に、「何をどう書けば伝わるのか」という構成力や思考力の壁にぶつかることが多いのが現実です。
今回は、「子どもが英作文を書くときによく起きること」を取り上げながら、その背景や、どうサポートすれば改善につながるのかを考えていきます。

よくある英作文の悩み①:主観的すぎて伝わらない
たとえば、次のような文章です。
I think soccer is the best because I like it. It is fun. I really like it a lot.
熱意は伝わってきますね。あー、この子、サッカー好きなんだな~って。
でも、「なぜそう思うのか」や「具体的な理由」が欠けているため、読み手にとっては説得力に欠けてしまいます。
子どもにとって、「自分が好きだから一番」はとても自然な論理です。
そして、年の若いこどもは「自分が好きだから一番」で、説明が十分だと思っていることも多いです。
でも、英作文では第三者にも納得してもらえる説明や具体例が求められます。
サポートのヒント
「どこがどう好きなの?」と具体的に尋ねる
「他の人に説明するとしたら、どう言う?」と視点を変える
好きな場面やエピソードを思い出させて、それを文章にする
主観そのものは大切ですが、それを「理由や例を添えて伝える力」を育てるのが、作文練習の第一歩です。
よくある英作文の悩み②:因果関係が飛躍している
たとえば次のような文:
We should have more holidays. Because studying is hard. So we need more holidays.
主張は分かりますが、「勉強が大変だから→休みが必要」という因果関係が十分に説明されていないため、読み手にとっては「なぜ?」と疑問が残ります。
また、「勉強が大変」=「休みを増やすべき」という論理が飛びすぎてしまっていることも多々あります。
サポートのヒント
「長期休みがなぜ勉強の大変さを減らすのか」と問い返してみる
「どうしてそう思ったの?」「何があったの?」と掘り下げる
体験談(たとえば長期休みにリフレッシュできた話)などを引き出す
英作文は「理由づけ」がとても重要です。「こう思う」→「なぜなら」→「たとえば」の流れがあることで、読み手に伝わる構成になります。
よくある英作文の悩み③:書くことがなくなって同じことを繰り返す
たとえばこんな感じ:
I think school lunch is good because it is tasty. It is really delicious. We need school lunch because the taste is good.
書いているうちに、言いたいことがなくなって、同じ言葉を繰り返してしまうのはよくあることです。
これは決して怠けているわけではなく、「アイデアの引き出し」が少ない状態を表しています。
サポートのヒント
箇条書きで「好きな理由」を3つ書かせてから文章にする
5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうやって)を使って発想を広げる
「それって、家でも?学校でも?どんなとき?」と条件を変えて尋ねる
繰り返しは「楽をしている」のではなく、「何を書けばいいか分からなくなっている」だけです。
思考の材料を与えることが必要です。
英作文に表れる「日本語で考えるクセ」
子どもたちは、日本語ではもっと自由に自分の意見を言えるのに、英語になると急に固くなったり、思考が止まったりします。
それは、「英語で書く=正解を書かなきゃいけない」と思い込んでいるから。
英検や学校の試験対策で「正しい英文」「高評価がもらえる言い方」に偏ってしまうことが多いのです。
でも実は、大切なのは「正しい文法」だけではありません。
それ以上に問われるのは、「自分の考えを論理的に説明できるかどうか」です。

書けないときに必要なのは「問い」と「対話」
英作文が苦手な子に「とりあえず書いてみよう」と言っても、なかなか進まないことがあります。
そんなときこそ、適切な問いかけが必要です。
たとえば:
「そのテーマについて、何か経験したことある?」
「他の人がそれについてどう考えると思う?」
「昔と今で変わったことってある?」
「そのことについて誰かと話したことある?」
こうした問いが、子どもたちの中にある「感情」や「記憶」や「意見」を引き出すきっかけになります。
書く前に、話すことで考えを整理する時間をしっかりと取るのも大切です。
型を教えることと、考えさせることのバランス
英作文では、「型」(導入→意見→理由→具体例→まとめ)を教えることも重要です。
でも、型だけでは文章に「深み」や「本人らしさ」が出ません。
逆に、「自分の意見を自由に書いて」とだけ言われると、何も書けなくなってしまうこともあります。
大切なのは、型と自由をバランスよく育てること。
書き出しのパターンは練習する(たとえば “I think〜 because〜.”)
でも、理由は本人の実体験から探すようにする
書いた後には「これってあなたの言葉?」と問い返す
このプロセスを繰り返すことで、「型にとらわれすぎず、考える習慣」が育ちます。
子どもが書く英作文は“未完成”が当たり前
英作文において、最初から完璧な文章を書ける子はいません。
主観が強すぎるのも、論理が飛んでいるのも、繰り返しすぎるのも、すべては「考える練習の途中」なのです。
大人ができるのは、「なぜそう思ったの?」「他の視点はあるかな?」と対話を重ねながら、少しずつ考えを深めていくサポートをすること。
子どもが「考えるって楽しい」「書くって自分を伝えることなんだ」と思えるような体験を積み重ねていくことで、英作文の力は確実に育っていきます。
英作文は、英語のテストのためだけではありません。
子どもが「自分の頭で考え、自分の言葉で伝える力」を育てる、大切なステップです。
記事作成者 (Manami Palmini ![]() 講師経歴
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