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英作文や面接に正解はない? 子どもに必要な“問いに向き合う力”とは

「正解を教えてください」

「この答えでいいですか?」


これは、英語教育の現場や帰国子女受験の面接練習で、子どもたちからよく聞かれる言葉です。


アメリカに住むお子さんを指導していてもよく聞かれます。


たとえば英作文の練習で「あなたはペットを飼いたいですか?」という問いを出したとき、返ってくるのは


「どっちが正解なんですか?」


「Yesですか?Noですか?」


という反応。


また、帰国子女枠の面接対策でも、「この質問にはどう答えるのがいいですか?」という「模範解答」を求める姿勢が目立ちます。


でも、そもそも正解はないのです。


答えが一つではない問いにどう向き合うか。


そこでこそ、子どもたちの「思考力」や「自分で考える力」が育つチャンスがあります。


この記事では、「正解がない問い」がなぜ今の子どもたちにとって重要なのか、英作文や帰国子女受験を例にしながら、これからの学びに必要な考え方を紐解いていきます。


英作文や面接には「正解」が存在しない


まず、英検の英作文や、帰国子女受験の面接を思い浮かべてみてください。


問われるのは、


「あなたは〇〇についてどう思いますか?」


「なぜそう考えますか?」


といったオープンエンド型の問いです。


このような問いに、絶対的な正解はありません。


YesでもNoでも、それを選んだ理由がしっかりしていれば、どちらでも構わないのです。


でも多くの子どもたちは、「どちらが先生にとって“嬉しい”答えか?」を探してしまいます。


つまり、「評価されそうな答え」を予想して、それに自分を合わせようとするのです。


それは長年、「正解のある問い」に慣れてきた学習スタイルの副作用とも言えるかもしれません。


なぜ「正解がない問い」は子どもを戸惑わせるのか


学校教育では、多くの問いに正解があります。


算数の計算問題、理科の用語、社会の年号。


「これが正しい」「これが正解」と教えられて育った子どもたちは、それ以外の答え方に戸惑ってしまいます。


でも、現実の社会には「これが正しい」と一言で言えない問題がたくさんあります。


  • SNSは子どもに良い影響を与えているか?

  • ロボットやAIが仕事をすることにどう思うか?

  • 勉強と遊び、どちらが大切か?


こういったテーマに「唯一の正解」などありません。


答えはその子の考え方や経験によって変わりますし、そこにこそ「表現力」「思考力」「人間性」がにじみ出ます。


「教えられない問い」に、どう向き合うか


英作文や面接で子どもに「どう答えたらいいの?」と聞かれたとき、私はこう答えるようにしています。


「私は答えを持っていないよ。でも、あなたの答えは何?」

そう言うと、子どもたちは最初は戸惑います。


でも少しずつ、「自分の答えは何だろう」と考え始めます。


そして、「えっと…私はこう思うかもしれない」と、恐る恐る自分の考えを口にし始めるのです。


この「自分で考える」プロセスこそが大切です。


イエスかノーでは終わらない世界へ


これからの時代、子どもたちが向き合っていく社会は、白黒はっきりしない問いの連続です。


  • テクノロジーの進化は本当に幸せをもたらすのか?

  • 環境問題と経済成長、どちらを優先すべきか?

  • 誰かの「正義」は、他の人にとっても「正義」なのか?


こうした複雑な問題に対して、Yes/Noの二択で答えることはできません。


自分で考え、自分の中でバランスをとりながら、「自分なりの答えをつくる力」が求められます。


それは英作文の練習の中でも、面接の練習の中でも、少しずつ育てていける力です。


思考力は「経験」から育つ


「自分の考えを持ちましょう」と言われても、子どもたちはすぐには答えられません。


それは、考えがないからではなく、「考える訓練をしてこなかった」から。


思考力は、与えられるものではなく、経験から育てるものです。


  • 自分の言葉で話してみる

  • 友だちや先生と意見を交換してみる

  • 答えが出ない問いに向き合ってみる

  • 間違っても大丈夫と感じられる環境で考える


そうした積み重ねが、「自分の頭で考えることは面白い」と思えるきっかけになります。


帰国子女受験や英検で問われている力とは?


帰国子女枠の面接や英検の二次試験で、最も評価されるのは「思考の深さ」と「表現の明確さ」です。


英語力そのもの以上に、「自分はこう思う」「その理由はこうだ」と根拠を持って語る力が求められています。


英語でのコミュニケーションは、言葉だけでなく、「何を伝えたいか」が明確であることが前提です。


だからこそ、「正解を探す姿勢」から、「自分で考える姿勢」への転換が必要なのです。


大人ができるサポートは「問いを共有すること」


子どもたちが「正解のない問い」に向き合うとき、大人にできるのは「答えを教えること」ではありません。


むしろ、「一緒に考えること」「問いそのものを面白がること」です。


  • 「あなたはどう思う?」と問い返してみる

  • 「その考え、面白いね」と受け止めてみる

  • 「もう少し詳しく説明してみて」

  • 「自分だったらこう思うかも」と意見を交換してみる


そうした日々のやりとりが、子どもたちにとっての「思考の土台」となります。


まとめ:「正解がない問い」こそ、未来への準備


今の子どもたちにとって、最も大切な力は「正解を言うこと」ではなく、「自分で問いを立て、自分なりの答えをつくること」です。


英作文でも、面接でも、それははっきり表れています。


模範解答の丸暗記ではなく、自分の経験や感情から生まれる「自分だけの答え」を言葉にすること。


それこそが、これからの時代に必要とされる、本当の意味での「学びの力」となっていくでしょう。


子どもたちが、答えのない問いに出会ったとき、どうか「困った」ではなく、「面白い」と感じられるように。


私たち大人ができるのは、一緒に考えるという視点をもつことだと信じでいます。



記事作成者 (Manami Palmini



講師経歴

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  • 国際基督教大学、大学院にて英語の集中クラスを受けながら、演劇や脚本の研究に携わる

  • 日本の個人塾で3年間英語講師としての経験あり

  • ​ニューヨーク大学(NYU)大学院にて芸術教育学を学び、言語学習における芸術活動の効果について研究

  • ​TESOL(英語教授法)資格あり

過去のサポート歴

  • 現地校、日本人学校に通うお子さんの日常英会話

  • 英検、中学、高校、大学受験対策

  • 駐在の方のためのビジネス英会話

  • お子さんがいる方のためのママ友さんとのスモールトーク、学校関連の会話

  • 研究員として渡米された方のためのプレゼンテーションのお手伝い




 
 
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